鈴生とクミアイ化学が静岡県でカーボンクレジット創出、水田中干延長で農業由来の温室効果ガス排出量削減へ
text: LEAFLA編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
PR TIMES より
記事の要約
- 鈴生とクミアイ化学が連携し水田中干延長カーボンクレジット創出
- 静岡県での農業由来温室効果ガス排出量削減を目指す
- クレジット取引の見える化と地産地消モデルの普及・拡大を推進
鈴生とクミアイ化学の連携によるカーボンクレジット創出
株式会社鈴生はクミアイ化学工業株式会社と連携し、静岡県での農業由来の温室効果ガス排出量削減に向けた水田中干延長によるカーボンクレジットの創出および売買を行うことを2024年9月2日に発表した。この取り組みは、J-クレジット制度を活用し農林中央金庫のコンサルティング支援の下で進められており、第61回J-クレジット制度認証委員会においてプロジェクトが承認・登録されている。[1]
鈴生は静岡県内を中心に14件の生産者と野菜の契約生産を行っており、その生産者である静岡県掛川市の農家を中心に、地域の16農家と連携して水田メタン削減および削減効果のJ-クレジット化に取り組んでいる。「顔が見えるクレジット協会」を設立し、J-クレジットの作成者と購入者が明確に分かるシステムの構築を目指している。
クミアイ化学は掛川市に研究拠点を持ち、鈴生の「顔が見えるクレジット協会」の仕組みに共感を示した。水田中干延長による反収減少や品質低下への対策研究を進めるとともに、J-クレジットの購入も行う予定だ。両社の連携により、温室効果ガス排出量削減に向けた水田中干延長を行う農家の負担軽減と、その手法の普及拡大が期待される。
水田中干延長カーボンクレジット創出の特徴
鈴生 | クミアイ化学 | |
---|---|---|
主な役割 | J-クレジット創出・販売支援 | 技術支援・クレジット購入 |
連携農家数 | 16農家 | 記載なし |
取り組み内容 | 水田メタン削減・J-クレジット化 | 反収減少・品質低下対策研究 |
独自の取り組み | 顔が見えるクレジット協会設立 | 研究拠点を活用した技術支援 |
J-クレジットについて
J-クレジットとは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取り組みによる温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国が認証する制度である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 国によって認証された信頼性の高いクレジット
- 様々な分野での温室効果ガス削減・吸収活動が対象
- クレジットの売買が可能で経済的インセンティブとなる
本プロジェクトでは、水田中干延長による温室効果ガス排出削減量がJ-クレジットとして認証されている。農林中央金庫のコンサルティング支援を受けながら、第61回J-クレジット制度認証委員会でプロジェクトが承認・登録されたことで、農業分野におけるJ-クレジット創出の新たなモデルケースとなる可能性がある。
水田中干延長カーボンクレジットに関する考察
水田中干延長カーボンクレジットの創出は、農業分野における温室効果ガス排出削減の新たな取り組みとして評価できる。特に、鈴生とクミアイ化学の連携により、技術面と経済面の両方からアプローチできる点が優れている。一方で、水田中干延長が米の収量や品質に与える影響については、まだ十分な知見が蓄積されていない可能性があり、今後の研究成果が重要になるだろう。
将来的な課題として、クレジット取引の透明性確保や、小規模農家も参加しやすい仕組みづくりが挙げられる。「顔が見えるクレジット協会」の取り組みは一つの解決策だが、さらなる発展や全国展開に向けては、デジタル技術を活用したトレーサビリティの確立や、農家向けの啓発活動が必要になるかもしれない。また、水田中干延長以外の農業由来の温室効果ガス削減方法についても研究を進め、多様なオプションを提供することが望ましい。
今後は、この取り組みをモデルケースとして、他の地域や作物へも展開していくことが期待される。さらに、農業分野におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、消費者への啓発活動や、環境配慮型農産物の付加価値化なども重要な課題となるだろう。鈴生とクミアイ化学の連携が、持続可能な農業と環境保全の両立に向けた新たな道筋を示すことを期待したい。
参考サイト
- ^ PR TIMES. 「鈴生はクミアイ化学工業と連携し、静岡県での農業由来の温室効果ガス排出量削減に向けた水田中干延長カーボンクレジットの創出・売買を通し「クレジット取引の見える化」に向け地産地消モデルの普及・拡大を目指す | 株式会社鈴生のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000143227.html, (参照 24-09-03).
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