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公開：2024-09-03

コーセーがTNFDに基づく生物多様性レポートを公開、ネイチャーポジティブ実現へ向け新方針を策定

text: LEAFLA編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

• コーセーがTNFDに基づく生物多様性レポートを公開
• 水資源とパーム油に関する生物多様性リスクを分析
• ネイチャーポジティブ実現に向けた取り組みを推進

コーセーが生物多様性レポートを公開し新方針を策定

株式会社コーセーは2024年9月2日、TNFDの開示フレームワークに基づいた「KOSÉ Group TNFD Report」を公開した。このレポートでは、コーセーグループの事業活動における生物多様性関連リスクと影響を詳細に分析している。同時に、生物多様性の損失を止め回復させる「ネイチャーポジティブ」の実現を目指す行動指針となる「コーセーグループ生物多様性方針」も策定された。^[1]

コーセーグループは創業以来、化粧品のモノづくりにおいて自然環境から多くの恵みを受けてきた。生物多様性の保全と回復は同社にとって重大な経営課題であり、地球環境を守りながら事業活動を継続することが必要不可欠だと認識している。そのため、生物多様性のリスクや影響を客観的事実に基づいて分析し、効果的な対策を講じることが求められている。

本レポートでは、化粧品製造に不可欠な重要な自然資本である「水資源」と「パーム油」に焦点を当てている。事業活動と関係する生物多様性関連リスクの把握と、生物多様性を保全し回復に貢献する事業機会の創出に向けた取り組みを詳細に分析・評価している。この分析結果を基に、水使用量削減・水保全に繋がる取り組みや工場周辺の生物多様性に貢献する活動を強化し、持続可能なパーム油調達と使用を促進していく方針だ。

コーセーの生物多様性への取り組みまとめ

TNFDについて

TNFDとは「Taskforce on Nature-related Financial Disclosure（自然関連財務情報開示タスクフォース）」の略称であり、企業などの事業活動による自然資本や生物多様性関連のリスク把握と影響を評価し、情報開示する枠組みを構築する国際的なイニシアチブだ。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 自然資本と生物多様性に関するリスクと機会の評価を促進
• 企業の情報開示の標準化と比較可能性の向上を目指す
• 投資家や金融機関の意思決定に活用可能な情報提供を実現

コーセーグループは2024年1月にTNFD情報開示の構築支援を行う「TNFDフォーラム」に参画し、早期の情報開示を目指す「TNFD Early Adopters」へ登録した。これにより、生物多様性リスクに関する分析・評価・情報開示の検討を積極的に進め、自社の事業活動が生物多様性に与える影響を明確化し、持続可能な事業運営に向けた取り組みを加速させている。

コーセーの生物多様性レポート公開に関する考察

コーセーがTNFDに基づく生物多様性レポートを公開したことは、化粧品業界における環境配慮への取り組みの先駆けとして評価できる。特に水資源とパーム油に焦点を当てた分析は、化粧品製造における重要な環境課題に対する具体的なアプローチを示しており、他社への波及効果も期待できるだろう。一方で、こうした取り組みの実効性を高めるためには、サプライチェーン全体を巻き込んだ協力体制の構築が不可欠だ。

今後の課題として、生物多様性保全の取り組みと企業の成長戦略をいかに両立させるかが挙げられる。環境配慮型の製品開発や、生物多様性に配慮した原料調達の仕組みづくりなど、ビジネスモデルの変革が求められるだろう。その解決策として、バイオテクノロジーを活用した代替原料の開発や、地域社会と連携した生態系保全プロジェクトの展開などが考えられる。

コーセーには、この生物多様性レポートを起点として、より具体的な数値目標の設定や、達成に向けたロードマップの策定を期待したい。また、他の化粧品メーカーとの協業や、NGOとのパートナーシップ強化など、業界全体で生物多様性保全に取り組む体制づくりにリーダーシップを発揮することを期待する。こうした取り組みが、化粧品業界全体の持続可能性向上と、消費者の環境意識醸成につながることを願う。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「～ネイチャーポジティブ実現に向けた取り組みをグループ全体で推進～　コーセー、TNFD（※1）の開示フレームワークに基づいた生物多様性に関するレポートを公開 | 株式会社コーセーのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000621.000041232.html, (参照 24-09-03).

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