C3光合成とは?意味をわかりやすく簡単に解説
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C3光合成とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: LEAFLA編集部


C3光合成とは

C3 光合成とは、地球上の植物の約85%が行っている最も一般的な光合成の方法で、二酸化炭素を最初に3つの炭素からなる化合物として固定する特徴があります。光合成色素であるクロロフィルが太陽光を受け取ることで、水と二酸化炭素から有機物とエネルギーを生み出す重要な反応です。

C3 光合成では、カルビン・ベンソン回路という代謝経路を通じて二酸化炭素を固定し、リブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼという酵素が重要な役割を果たしています。この酵素は光呼吸という副反応も触媒するため、C3植物は高温や乾燥条件下では光合成効率が低下する特性があります。

C3 光合成を行う植物は、葉緑体の中でストロマチラコイド膜という二つの重要な区画を持ち、それぞれが光化学反応と炭素固定反応の場として機能しています。チラコイド膜では光エネルギーを化学エネルギーに変換し、ストロマではそのエネルギーを使って二酸化炭素から糖を合成する過程が進行します。

C3 光合成の反応は、明反応と暗反応という二つの段階に分けられ、明反応では太陽光のエネルギーを利用してATPとNADPHを生成します。これらの物質は暗反応で二酸化炭素を糖に変換する際のエネルギー源として使用され、植物の成長に必要な有機物を効率的に生産しています。

C3 光合成は、イネやコムギなどの主要な作物でも見られる光合成様式で、地球上の生態系における炭素循環の中心的な役割を担っています。植物の光合成による二酸化炭素の固定は、大気中の二酸化炭素濃度を調節する重要な機能を持ち、地球環境の維持に貢献しているのです。

C3 光合成の代謝メカニズム

C3 光合成の代謝メカニズムに関して、以下を簡単に解説していきます。

  1. 光化学系の構造と機能
  2. カルビン回路の反応過程
  3. 光呼吸の仕組みと影響

光化学系の構造と機能

光化学系は光化学系IとIIという二つの複合体で構成され、それぞれが特異的なクロロフィルタンパク質複合体を持っています。光化学系IIでは水分子から電子を取り出して酸素を発生させ、その電子は電子伝達系を経由して光化学系Iに送られる仕組みになっています。

光化学系での電子伝達は、チラコイド膜を介したプロトン濃度勾配を形成し、このエネルギーを利用してATP合成酵素がADPからATPを合成します。同時に、光化学系Iから放出された電子はNADPHの生成に使用され、これらの物質が暗反応のエネルギー源となるのです。

光化学系の反応効率は、光強度や温度などの環境要因によって大きく影響を受け、最適な条件下で最大の光合成速度を示します。特に強光条件下では光阻害という現象が起こり、光化学系IIの反応中心が損傷を受けて光合成効率が低下する可能性があります。

カルビン回路の反応過程

カルビン回路では、RuBisCOという酵素が二酸化炭素を3-ホスホグリセリン酸という3炭素化合物に固定する反応を触媒しています。この過程では、明反応で生成したATPとNADPHが還元力とエネルギー源として使用され、段階的な反応を経て最終的にグルコースが合成されます。

カルビン回路全体では、3分子の二酸化炭素から1分子のグリセルアルデヒド3-リン酸が生成され、これが糖の合成に使用されます。この過程では9分子のATPと6分子のNADPHが消費され、効率的な炭素固定反応が行われるためには、これらの物質の供給バランスが重要になります。

カルビン回路の各反応は複数の酵素によって制御されており、これらの酵素活性は光や二酸化炭素濃度などの環境要因によって調節されています。特に、RuBisCOの活性化状態は光合成全体の効率に大きな影響を与え、その制御機構の解明は農作物の収量向上につながる重要な研究課題です。

光呼吸の仕組みと影響

光呼吸は、RuBisCOが二酸化炭素の代わりに酸素を基質として使用する反応で、高温や乾燥条件下で特に顕著になります。この反応では、光合成で固定した炭素の一部が二酸化炭素として放出され、エネルギーの損失が生じることから、C3植物の生産性に大きな影響を与えています。

光呼吸の過程では、葉緑体、ペルオキシソーム、ミトコンドリアという三つのオルガネラが関与し、複雑な代謝経路を形成しています。この反応には多くのATPが消費されるため、植物の生産効率を低下させる要因となりますが、一方で光阻害からの保護や余剰還元力の消費といった重要な生理的機能も担っています。

光呼吸による損失を軽減するため、植物は気孔の開閉調節や酵素活性の制御など、様々な適応メカニズムを発達させています。C4植物CAM植物は、独自の二酸化炭素濃縮機構を進化させることで光呼吸を抑制し、より効率的な光合成を実現しているのです。

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