暗反応とは?意味をわかりやすく簡単に解説
text: LEAFLA編集部
暗反応とは
暗反応とは、植物の光合成における重要な過程で、光を必要としない化学反応のことを指します。葉緑体のストロマで行われるカルビン回路において、二酸化炭素を糖に変換する一連の反応が進行していきます。
暗反応では、明反応で生成されたATPとNADPHを利用して、二酸化炭素から炭水化物を合成する複雑な化学反応が行われます。この過程でリブロース1,5-ビスリン酸から始まる一連の酵素反応が進んでいきます。
光合成全体における暗反応の役割は、大気中の二酸化炭素を有機物へと変換する炭素固定にあたります。この反応では、カルビン・ベンソン回路と呼ばれる13種類の酵素が関与する循環的な反応経路が形成されていきます。
暗反応の過程では、明反応で生成された高エネルギー物質のATPとNADPHが消費されながら、段階的に糖が合成されていきます。この反応は光がない状態でも進行するため、夜間でも植物は光合成産物を生成できます。
暗反応の効率は、温度や二酸化炭素濃度などの環境要因によって大きく左右されることが特徴的です。最適な条件下では、1分間に数百回もの回路が回転して効率的に糖を生産していきます。
暗反応のメカニズムと制御
暗反応のメカニズムと制御に関して、以下を簡単に解説していきます。
- カルビン回路の反応段階
- 補酵素と酵素の働き
- 環境要因による制御
カルビン回路の反応段階
カルビン回路における最初の段階では、二酸化炭素がリブロース1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼによって固定されることから始まります。この反応により、不安定な6炭素化合物が2分子の3-ホスホグリセリン酸へと変換されていきます。
次の段階では、ATPのエネルギーを利用して3-ホスホグリセリン酸がグリセルアルデヒド3-リン酸へと還元されていきます。この過程でNADPHが電子供与体として重要な役割を果たしていきます。
最終段階では、生成されたグリセルアルデヒド3-リン酸の一部が糖の合成に使用され、残りはリブロース1,5-ビスリン酸の再生に向けられます。この循環的な反応により、効率的な二酸化炭素の固定が維持されていきます。
補酵素と酵素の働き
カルビン回路を構成する各種酵素は、特異的な基質認識能力を持ち、精密な反応制御を行っています。特にルビスコと呼ばれる酵素は、二酸化炭素の固定において中心的な役割を担っていきます。
補酵素であるATPは、リン酸化反応のエネルギー源として働き、反応中間体の活性化に不可欠な役割を果たしています。同様にNADPHは、還元力の供給源として重要な機能を発揮していきます。
これらの酵素系は、光合成の明反応と暗反応を機能的に連携させる役割も担っており、効率的なエネルギー変換を可能にしています。複数の制御因子による精密な活性調節が行われていきます。
環境要因による制御
暗反応の進行速度は、温度によって大きく影響を受け、一般的に15度から30度の範囲で最適な活性を示します。高温や低温のストレスは、関与する酵素の機能を著しく低下させていきます。
二酸化炭素濃度も重要な制御要因となり、大気中の濃度が高いほど固定効率が向上していきます。これは、ルビスコの酵素活性が基質濃度に依存して変化することに起因しています。
水分状態やミネラルの供給状況も、暗反応の効率に影響を与える重要な環境要因となっています。これらの要素が適切に調整されることで、最適な光合成活性が維持されていきます。
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