外生菌根とは?意味をわかりやすく簡単に解説
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外生菌根とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: LEAFLA編集部

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外生菌根とは

外生菌根とは、樹木の根と菌類の菌糸が共生関係を築き、樹木の根の表面を菌糸が厚く覆って形成される特殊な根の構造のことを示します。この共生関係により、樹木は土壌中の水分や無機養分の吸収能力を大幅に向上させることができます。

外生菌根を形成する菌類には、マツタケやトリュフなどの食用キノコを含む担子菌類や子嚢菌類が多く含まれており、これらの菌類は宿主となる樹木から光合成産物を得て生存しています。樹木は菌類との共生により、通常の10倍以上の表面積で養分を吸収できるようになります。

外生菌根は主に温帯から寒帯に生育する針葉樹や広葉樹に見られ、マツ科やブナ科、カバノキ科などの樹木で特に発達した共生関係を形成しています。熱帯雨林の樹木では、外生菌根よりもアーバスキュラー菌根が優占的に形成されることが特徴です。

外生菌根を形成する菌類は、宿主となる樹木の根の表皮細胞間に菌糸を伸ばしてハーティグネットと呼ばれる構造を作り、養分のやり取りを行っています。この構造により、菌類は樹木から糖類を受け取り、樹木は菌類から無機養分を得る関係が成立しています。

外生菌根の形成により、樹木は土壌中のリンや窒素などの必須栄養素を効率的に吸収できるようになり、乾燥や病原菌に対する抵抗性も向上させることができます。森林生態系において、外生菌根は樹木の生育を支える重要な役割を果たしているのです。

外生菌根の生態系における機能

外生菌根の生態系における機能に関して、以下を簡単に解説していきます。

  1. 森林の物質循環への貢献
  2. 樹木の生長促進メカニズム
  3. 菌根ネットワークの形成過程

森林の物質循環への貢献

外生菌根は、森林生態系における炭素や窒素などの物質循環において中心的な役割を担っており、土壌中の有機物を分解して無機養分を樹木に供給しています。菌類の持つ強力な分解酵素により、一般的な根では利用できない形態の養分も効率的に吸収することが可能です。

外生菌根を形成する菌類は、土壌中に広範な菌糸ネットワークを張り巡らせることで、離れた場所にある有機物も分解して養分を運搬することができます。この働きにより、森林全体の養分利用効率が大幅に向上し、生態系の安定性が保たれています。

外生菌根は、土壌中の微生物群集の多様性にも大きな影響を与えており、他の微生物との相互作用を通じて土壌の健全性を維持しています。菌根菌の活動により、土壌構造が改善され、水分保持能力も向上することが明らかになっています。

樹木の生長促進メカニズム

外生菌根による樹木の生長促進は、菌類が分泌する植物ホルモン様物質や生理活性物質によって制御されており、根の発達や養分吸収を効率化しています。菌根菌は特に、リンや微量元素の吸収を促進する特殊な機能を持っているのです。

外生菌根を形成した樹木は、重金属やアルミニウムなどの有害物質に対する耐性も獲得しており、ストレス環境下でも健全な生育を維持することができます。この保護機能により、樹木は厳しい環境条件下でも生存競争に打ち勝つことが可能になっています。

外生菌根は、樹木の光合成産物を効率的に利用して菌糸の生長と維持を行い、より広範な土壌空間からの養分吸収を実現しています。この過程で、樹木の根系発達も促進され、より強固な生育基盤を確立することができるのです。

菌根ネットワークの形成過程

外生菌根ネットワークの形成は、菌類の胞子が発芽して菌糸を伸長させ、適合性のある樹木の根に接触することから始まり、複雑な化学シグナルのやり取りを経て確立されます。この過程で、両者の遺伝子発現が大きく変化することが知られています。

外生菌根の形成過程では、菌類が樹木の根の表面に菌鞘と呼ばれる構造を作り、さらに根の内部にハーティグネットを形成することで、効率的な物質交換の基盤が整えられます。この構造形成には、数週間から数か月の期間を要することが明らかになっています。

外生菌根のネットワークは、一度形成されると周辺の樹木にも拡大し、複数の樹木間での養分のやり取りを可能にする共通菌根ネットワークへと発展していきます。このネットワークにより、森林内での資源の再分配が効率化されているのです。

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