リン酸肥料とは?意味をわかりやすく簡単に解説
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リン酸肥料とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: LEAFLA編集部


リン酸肥料とは

リン酸肥料とは、作物の生育に不可欠なリン酸を主成分とする肥料で、植物の根の成長や花芽の形成を促進する重要な役割を果たしています。リン酸は植物の細胞分裂や光合成に必要不可欠な栄養素として知られており、作物の収量と品質向上に大きく貢献しています。

リン酸肥料には過リン酸石灰や重過リン酸石灰などの水溶性リン酸肥料と、リン鉱石やトーマスリン肥などのク溶性リン酸肥料が存在します。土壌の種類や作物の生育ステージに応じて最適な形態のリン酸肥料を選択することで、効果的な施肥が可能となります。

化学的な製造方法によって生産されるリン酸肥料は、リン鉱石を硫酸で処理して製造される過リン酸石灰が代表的な例として挙げられます。有機質のリン酸肥料には、骨粉や魚粉などの動物性原料や、油かすなどの植物性原料が使用されています。

リン酸肥料の施用量は作物の種類や生育段階によって異なりますが、一般的に基肥として全体の6割から7割を施用し、残りを追肥として与えることが推奨されています。過剰施用は土壌への蓄積や環境への悪影響を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

世界的なリン資源の枯渇が懸念される中、リン酸肥料の効率的な利用や循環型農業の確立が重要な課題となっています。堆肥の活用や緑肥作物の導入など、持続可能な農業生産システムの構築に向けた取り組みが進められているところです。

リン酸肥料の効果的な活用方法

リン酸肥料の効果的な活用方法に関して、以下を簡単に解説していきます。

  1. 作物別の施肥設計と使用量
  2. 土壌条件による使い分け
  3. 施肥時期と施用方法

作物別の施肥設計と使用量

水稲栽培では出穂期前後のリン酸吸収量が最も多くなるため、基肥として全量の70%程度を施用し、残りを分げつ期に追肥として与えることが推奨されています。果樹栽培では開花期から果実肥大期にかけて重点的な施肥が必要となっています。

露地野菜の栽培では、収穫物の品質向上と収量確保のために、定植前の基肥としてリン酸肥料を十分に施用することが重要です。施設栽培では土壌診断に基づいて、作物の生育段階に応じた適切な施肥設計を行う必要があります。

葉物野菜は生育初期のリン酸要求量が高く、定植直後から活着期までの施用が重要となっています。根菜類では根の肥大期に向けて段階的な施用を行い、生育後期まで継続的な養分供給を確保することが大切です。

土壌条件による使い分け

酸性土壌ではリン酸が鉄やアルミニウムと結合して難溶性化するため、石灰質資材との併用や水溶性リン酸肥料の選択が効果的となっています。アルカリ性土壌ではカルシウムとの結合による難溶性化を防ぐため、酸性肥料との併用が推奨されます。

粘土質土壌ではリン酸の固定力が強いため、局所施肥や緩効性リン酸肥料の使用が有効な対策となっています。砂質土壌では養分の流亡が起こりやすいため、分施による施肥管理や有機物の投入による保肥力の改善が必要です。

還元状態にある水田土壌では、リン酸の有効化が促進されるため、適切な施用量の調整が重要となっています。転換畑では作土層の深耕と併せて、リン酸肥料の深層施用を行うことで、作物の根張りを促進することができます。

施肥時期と施用方法

リン酸肥料の施用は、作物の栽培開始前に基肥として土壌と十分に混和することが基本となっています。春作物では融雪後の地温上昇を待って施用を行い、秋作物では播種や定植の2週間前までに施用を完了することが推奨されます。

生育期間の長い果樹や永年作物では、土壌診断結果に基づいて年間施肥量を決定し、春肥と秋肥に分けて施用することが一般的です。根圏への局所施肥や深層施肥により、養分利用効率を高めることが可能となっています。

液肥による葉面散布は、生育不良の改善や収量品質の向上に効果的な補完技術として活用されています。土壌の物理性改善と併せて、有機物の投入による地力の維持増進を図ることで、リン酸肥料の利用効率を高めることができます。

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