CEC(陽イオン交換容量)とは?意味をわかりやすく簡単に解説
text: LEAFLA編集部
CEC(陽イオン交換容量)とは
CEC(陽イオン交換容量)とは、土壌が持つ養分を保持する能力を数値化した指標であり、土壌中の粘土鉱物や有機物が持つ陽イオンを吸着する能力を表しています。土壌のCECが高いほど、植物の生育に必要なカルシウムやマグネシウムなどの養分を効率的に保持できます。
土壌中の粘土鉱物は、表面に負の電荷を持っているため、プラスの電荷を持つ陽イオンを引き寄せて保持する性質があります。土壌のCECが高ければ高いほど、より多くの陽イオンを保持し、植物に必要な栄養分を供給できます。
CECの値は、土壌100グラムあたりのミリ当量(meq)で表され、一般的な土壌では5~30meqの範囲に分布しています。CECの値が低い土壌では、肥料として与えた養分が流れ出しやすく、植物の生育に影響を及ぼす可能性があります。
土壌のCEC値は、土壌の種類や有機物含有量によって大きく異なり、砂質土壌では低く、粘土質土壌や腐植に富む土壌では高い傾向にあります。このため、土壌改良を行う際には、CECの値を考慮して適切な対策を講じる必要があります。
土壌のCECを向上させるには、堆肥や腐葉土などの有機物を継続的に施用することが効果的です。有機物の投入により、土壌の物理性が改善されるだけでなく、CECの向上にも寄与し、植物の健全な生育を促進できます。
土壌のCEC向上と植物生育への影響
土壌のCEC向上と植物生育への影響に関して、以下を簡単に解説していきます。
- CECと土壌改良材の関係性
- CECが植物の養分吸収に与える効果
- CECと土壌微生物の活性化
CECと土壌改良材の関係性
土壌改良材の中でも、バーミキュライトやゼオライトなどの鉱物系資材は、高いCEC値を持つ特徴があります。これらの資材を土壌に混合することで、土壌全体のCECを効果的に向上させることができます。
腐植酸を多く含む有機質土壌改良材は、土壌のCECを長期的に改善する効果があります。有機物が分解される過程で生成される腐植物質は、CECの向上に大きく貢献し、土壌の養分保持力を高めます。
土壌改良材の施用量は、土壌のpHや現在のCEC値を考慮して決定する必要があります。過剰な施用は土壌環境のバランスを崩す可能性があるため、定期的な土壌分析に基づいた適切な量を選択します。
CECが植物の養分吸収に与える効果
CECが高い土壌では、カリウムやカルシウムなどの必須栄養素が効率的に保持され、植物が必要とするタイミングで養分を供給できます。これにより、植物の生育が安定し、収量や品質の向上につながります。
土壌中の養分バランスは、CECの値によって大きく影響を受けることが知られています。CECが適正な範囲にある土壌では、各種養分の拮抗作用が緩和され、植物による均衡のとれた養分吸収が促進されます。
CECと植物の根系発達には密接な関係があり、適切なCEC値を持つ土壌では、根毛の発達が促進されます。根系の発達により、養水分の吸収効率が向上し、植物の健全な生育が実現できます。
CECと土壌微生物の活性化
土壌のCECが適切な範囲にあると、有用な土壌微生物の活動が活発になることが研究により明らかになっています。土壌微生物の活性化は、有機物の分解を促進し、植物が利用できる養分の供給を増加させます。
CECと土壌微生物の相互作用により、土壌の団粒構造が発達し、通気性や保水性が改善されます。これにより、根圏環境が整備され、植物の養分吸収がさらに効率化されることが期待できます。
土壌微生物の多様性は、CECの値によって影響を受けることが確認されています。適切なCEC値を維持することで、有益な微生物群集が形成され、持続可能な土壌環境の構築につながります。
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