C4 光合成とは?意味をわかりやすく簡単に解説
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C4 光合成とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: LEAFLA編集部


C4 光合成とは

C4 光合成とは、高温や乾燥など厳しい環境下でも効率的に光合成を行える仕組みとして進化した特殊な光合成経路のことを指します。通常の光合成(C3 光合成)と比較して、二酸化炭素を効率的に固定できる利点があります。

C4 光合成では、葉肉細胞で二酸化炭素をいったん4つの炭素からなるリンゴ酸やアスパラギン酸として固定し、維管束鞘細胞へと輸送する仕組みを持っています。この過程により、高温時でも光呼吸による損失を防ぐことができます。

C4 植物は、サトウキビやトウモロコシなど熱帯や亜熱帯に生育する作物に多く見られ、光合成の効率が通常の植物の1.5倍以上になることもあります。このため、バイオマス生産や農業生産性の向上に重要な役割を果たしています。

C4 光合成の進化は、約2,500万年前から3,000万年前の間に、地球上の二酸化炭素濃度が低下した時期と一致しているとされています。この環境変化に適応するため、複数の植物グループで独立して獲得された形質です。

C4 光合成を行う植物は、特殊な葉の構造(クランツ型構造)を持ち、葉肉細胞と維管束鞘細胞が密接に配置されています。これにより、二酸化炭素の固定から解放までの過程が効率的に進行できる仕組みとなっています。

C4 光合成の構造と機能メカニズム

C4 光合成の構造と機能メカニズムに関して、以下を簡単に解説していきます。

  1. クランツ型構造の特徴
  2. 二酸化炭素固定の段階的過程
  3. エネルギー効率と環境適応

クランツ型構造の特徴

クランツ型構造は、放射状に配置された葉肉細胞と中心部の維管束鞘細胞からなる特徴的な葉の構造を持っています。この構造により、二酸化炭素の効率的な固定と輸送が可能となり、光合成の効率を高めることができます。

葉肉細胞には、二酸化炭素を最初に固定するホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ(PEPC)が豊富に存在しています。維管束鞘細胞では、リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(RuBisCO)が局在しています。

クランツ型構造における細胞間の距離は非常に短く、効率的な物質輸送を実現しています。この構造により、二酸化炭素の濃縮機能が高まり、光呼吸による損失を最小限に抑えることができます。

二酸化炭素固定の段階的過程

C4 光合成における二酸化炭素の固定は、まず葉肉細胞でPEPCによってホスホエノールピルビン酸(PEP)に固定されます。この反応により、4つの炭素を持つリンゴ酸やアスパラギン酸が生成され、維管束鞘細胞へと輸送されています。

維管束鞘細胞では、輸送されてきた4炭素化合物から二酸化炭素が放出され、RuBisCOによってカルビン回路で再固定されます。この過程で生じた3炭素化合物は、再び葉肉細胞へと戻り、PEPとして再利用されます。

二酸化炭素固定の各段階は、複数の酵素によって厳密に制御されています。この制御により、光合成の効率が維持され、環境ストレスに対する耐性が高まることになります。

エネルギー効率と環境適応

C4 光合成は、高温や強光などのストレス環境下でも効率的に光合成を行うことができます。これは、二酸化炭素濃縮メカニズムにより、RuBisCOの酸素化反応を抑制し、光呼吸によるエネルギー損失を防いでいるためです。

C4 植物は、水利用効率が高く、少ない水分で効率的に光合成を行うことができます。気孔を閉じる時間が長くても、維管束鞘細胞内の高い二酸化炭素濃度により、光合成を持続的に行えます。

C4 光合成を行う植物は、乾燥地や高温環境など、厳しい環境条件下でも高い生産性を維持できます。この特性により、地球温暖化による環境変動への適応能力が高いと考えられています。

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