アスクルが環境省の脱炭素化推進モデル事業に参加、バリューチェーン全体でのCO₂排出量削減を目指す
text: LEAFLA編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
記事の要約
- アスクルが環境省のモデル事業に参加決定
- バリューチェーン全体での脱炭素化を推進
- サプライヤーとのCO₂排出量削減に注力
アスクル、環境省の脱炭素化モデル事業に参画
アスクル株式会社は2024年9月5日、環境省が推進する「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」の個別バリューチェーン支援の参加企業として、構成企業2社とともに決定したことを発表した。本モデル事業は、サプライチェーン全体でのグリーン・トランスフォーメーションの取り組みを進めることを主眼に置いている。[1]
アスクルは2030年CO₂排出ゼロ、2050年ネットゼロを目標に掲げており、EC企業として「責任あるサプライチェーンの構築」を進めるべく、本モデル事業に取り組む。アスクルのCO₂排出量のうち99%がScope3であり、中でも仕入商品によるものが約7割を占めていることから、この仕入商品由来のCO₂排出量の削減に焦点を当てている。
本モデル事業では、アスクルとエンゲージメント対象のサプライヤーである構成企業2社と連携して、サプライヤーのCO₂排出量の算定、目標の設定、削減の取り組みを実施する。モデル事業前半ではScope1,2,3算定方法の研修会等を実施し、構成企業の算定を支援し、後半では当社のScope3に構成企業の算定結果を反映する予定だ。
アスクルのバリューチェーン脱炭素化推進事業の概要
目標 | 主な取り組み | 対象企業 | |
---|---|---|---|
CO₂排出量削減 | 2030年ゼロ、2050年ネットゼロ | サプライヤーエンゲージメント | 仕入商品CO₂排出量の90%を占める93社 |
モデル事業前半 | Scope1,2,3算定支援 | 研修会実施、個別支援 | 構成企業2社 |
モデル事業後半 | Scope3への反映 | 年間スケジュール策定 | 構成企業2社、他93社へ展開予定 |
Scope3について
Scope3とは、企業のバリューチェーン全体における間接的な温室効果ガス排出量を指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 自社の事業活動範囲外の排出量を含む
- 原材料調達から製品使用、廃棄までの全過程を対象
- 企業の総排出量の大部分を占めることが多い
アスクルの場合、CO₂排出量の99%がScope3であり、特に仕入商品由来の排出が約7割を占めている。このため、アスクルは本モデル事業を通じてサプライヤーとの連携を強化し、Scope3の削減に注力している。サプライヤーのCO₂排出量算定や削減目標設定を支援することで、バリューチェーン全体での脱炭素化を推進する取り組みを進めている。
バリューチェーン全体での脱炭素化推進に関する考察
アスクルの取り組みは、企業の脱炭素化努力がサプライチェーン全体に波及する可能性を示している。特に、仕入商品由来のCO₂排出量が大きな割合を占めるEC企業にとって、サプライヤーとの協働は不可欠だ。しかし、サプライヤーの規模や業種によってはCO₂排出量の算定や削減が困難な場合もあり、技術的・経済的支援が課題となるだろう。
この課題に対して、業界横断的な算定基準の策定や、中小企業向けの簡易的な算定ツールの開発が解決策となり得る。また、削減努力を適切に評価し、取引条件に反映させる仕組みづくりも重要だ。今後は、AIやブロックチェーン技術を活用した排出量のリアルタイムモニタリングや、再生可能エネルギーの共同調達など、より高度な協働モデルの出現が期待される。
バリューチェーン全体での脱炭素化は、単なる環境対策にとどまらず、サプライチェーンの強靭化や新たな価値創造につながる可能性がある。アスクルの取り組みが他企業にも波及し、日本全体のグリーン・トランスフォーメーションを加速させることを期待したい。こうした先進的な取り組みの成果を広く共有し、ベストプラクティスとして確立していくことが、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップとなるだろう。
参考サイト
- ^ PR TIMES. 「アスクル、環境省「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」の参加企業に決定 | アスクル株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000411.000021550.html, (参照 24-09-07).
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- Leaf Laboratory(リーフラボラトリー)
- メディア
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